股関節正面撮影は大腿骨頸,大転子,小転子も同時に投影するため,股関節正面像の体位だけでなく,大腿骨近位端の正面像としての位置づけも必要である。股関節正面像における骨頭の中心は,上前腸骨棘と恥骨結合上縁を結んだ線上の中点を外下方へ垂直に5cmの位置である。片側撮影の場合はこの点がX線中心線の入射点となる。両側撮影では両大腿骨頭中心を結んだ線と正中線との交点に入射する(この部は恥骨結合上縁から上方へ2~3cmにあたる)。いずれの場合も,大腿骨をやや内旋して大腿骨頸の長軸をより水平にし,同時に大転子と小転子がそれぞれ明瞭に観察できる必要がある。
⚫️体位:仰臥位。骨盤部をカセッテ面と水平にし,下肢は伸展して,軽度の内旋位にする。
⚫️中心線:大転子より3cm頭側が大腿骨頭の位置となる。両大腿骨頭を結んだ線と正中線の交点に垂直に入射する。あるいは,恥骨結合上縁から正中線上で上方へ2~3cmの点に垂直に入射する。